米麹由来発酵甘味料には、驚くほど豊富な「遊離アミノ酸」が含まれている
私たちは、砂糖や蜂蜜、メープルシロップなどに代わる発酵由来の新しい甘味料の研究・製造に取り組んでいます。
味や風味のやさしさだけでなく、私たちが注目しているのは、その“中身”――とくに遊離アミノ酸の含有量です。
米麹甘味料に含まれるアミノ酸量は、他の甘味料の10倍以上

石川県工業試験場ご協力のもと、米麹甘味料に含まれる「遊離アミノ酸」の分析を行いました。
その結果、米糀シロップには100gあたり約1,000mg以上の遊離アミノ酸が含まれていることがわかりました。
アミノ酸名 | 含有量(mg/100g) | 働き・特徴例 |
アスパラギン酸 | 120 | うま味、神経伝達 |
グルタミン酸 | 110 | うま味、脳・腸機能サポート |
アラニン | 110 | 甘味、肝機能サポート |
セリン | 76 | 甘味、神経修復サポート |
チロシン | 74 | 香気・ストレス応答 |
フェニルアラニン | 72 | 神経伝達物質の前駆体 |
バリン(BCAA) | 68 | 筋肉修復・スタミナ |
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遊離アミノ酸 | 合計 約1000mg |
これは、一般的な蜂蜜(50〜100mg/100g)やメープルシロップ(ほぼ0mg)と比べて圧倒的に多い含有量です。
とくに以下のようなアミノ酸が豊富です:
- グルタミン酸・アスパラギン酸:だしにも含まれる“うま味成分”
- アラニン・グリシン・セリン:甘み・まろやかさ・後味の柔らかさを演出
- BCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン):筋肉サポートや代謝活性にも関与
なぜ米麹で作る甘味料は、他の甘味料よりも遊離アミノ酸が豊富なのか?

その理由は、発酵の力と原料の違いにあります。
米麹は、麹菌(Aspergillus oryzae)と米で作られるもの。麹菌は、アミラーゼ(でんぷん分解酵素)だけでなく、プロテアーゼ(たんぱく質分解酵素)も豊富に産生します。このプロテアーゼによって、米に含まれるタンパク質がアミノ酸レベルにまで分解されるため、最終的に多量の遊離アミノ酸がシロップ中に蓄積します。
砂糖・メープルシロップ・蜂蜜は、
- サトウキビやカエデの樹液など、糖を主成分とする原料を搾って作られたものです。
それに対して米糀シロップは、
- たんぱく質を5〜7%含む米を原料にしており、もともとアミノ酸の供給源として優れている素材です。
つまり、原料そのものの栄養バランスの違いも、アミノ酸の含有量の差に表れています。
オリゼの米麹甘味料は、製造工程のなかで一部の酵素が加熱される前に最大限働く設計になっています。また、糖化が進むことでアミノ酸が水溶化されやすくなり、液体中に溶け出すことも、遊離アミノ酸の高含有につながっています。
🧪 つまり、
麹菌が分解したアミノ酸が、しっかり“溶け込んだまま”残っているのが米麹の甘味料。一般的な甘味料とは違う原料と製造方法によって、他にない栄養価が実現しているのです。
甘いだけじゃない。“栄養価の高い甘味料”へ

米麹由来発酵甘味料「オリゼ」のアミノ酸プロフィールを見ると、従来の甘味料にはない「栄養性・機能性」があることがわかります。
たとえば、GABAやアルギニン、プロリンなどは近年、ストレス軽減、血流改善、美容サポートなどの面から機能性が注目されている成分です。
発酵の力で、甘味料に“機能”を

オリゼの研究開発チームでは、今後も米麹甘味料のさらなる成分分析や機能性の探索を進めていきます。甘味料が単なる「味付け」の枠を超え、カラダとココロにやさしい素材として進化する。そんな未来を、発酵の力から実現していきます。