麹 × オートミールの腸活力 ―プレバイオティクスの力で、内側から健康に ―
はじめに:腸内環境と健康の深い関係

腸は「第二の脳」とも呼ばれ、私たちの免疫・代謝・メンタルヘルスにまで影響を与える重要な器官です。その鍵を握るのが腸内細菌のバランス。オリゼの研究開発チームでは、「麹」と「オートミール」という2つの自然素材が、腸内環境を多角的にサポートする可能性に注目しています。
麹のチカラ:酵素と発酵由来成分のダブルサポート

● 加熱前の麹が持つ「酵素力」
麹はアミラーゼやプロテアーゼといった消化酵素を産生します。これにより、私たちが食べた栄養素を分解・吸収しやすい形に変えてくれる「消化サポート素材」として知られています。※グラノーラのように加熱加工する場合は酵素は失活します。
● オリゴ糖などの発酵副産物が腸の味方に
麹によって作られるイソマルトオリゴ糖などは、腸内の善玉菌(乳酸菌やビフィズス菌など)のエサとなる「プレバイオティクス」です。
オートミールのチカラ:食物繊維の王様

● 水溶性・不溶性どちらも豊富
オートミールには、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維(特にβ-グルカン)がバランスよく含まれています。不溶性繊維は腸のぜん動運動を促し、水溶性繊維は腸内で善玉菌のエサとなって短鎖脂肪酸(SCFA)に変換されます(*2)。
● 炎症を抑え、腸のバリア機能をサポート
β-グルカン由来のSCFA(特に酪酸)は、腸内の炎症を抑えるだけでなく、がん細胞の増殖抑制、タイトジャンクションの強化(バリア機能向上)などにも寄与します(*2)。
● 血糖値の安定にも一役
オートミールはGI値が低く、特に朝食での摂取は日中の血糖値変動を緩やかに保つ効果も報告されています(*3, 4)。
麹 × オートミールのシナジー効果とは?
組み合わせ | 相乗効果 |
麹 + 食物繊維 | 発酵由来オリゴ糖+水溶性繊維 → プレバイオティクス作用の強化 |
麹 + オートミール | 酵素・オリゴ糖・β-グルカン → 善玉菌活性、整腸、抗炎症作用 |
オートミール単体 | 不溶性+水溶性の繊維バランス → SCFA産生・排便サポート |
麹 + オートミール(複合) | 善玉菌増加、短鎖脂肪酸産生、腸内pH調整、消化サポート、腸管バリア強化 |
腸活素材としての社会的意義
現代では、腸内フローラの乱れ(ディスバイオシス)が大腸がん(世界第3位のがん)の発症にも関与するとされ、予防的介入としての「日々の食」が見直されています。
β-グルカンは、以下のような有益菌の増殖や、有害菌の抑制に寄与することが報告されています:
- Akkermansia muciniphila(粘膜保護)
- Faecalibacterium / Roseburia(酪酸産生)
- Fusobacterium nucleatum や Bacteroides fragilis(大腸がんリスク菌)の抑制(*2)
オリゼが伝えたいこと

私たちオリゼは、発酵と植物素材の力を組み合わせることで、人々の「自然で健やかな暮らし」をサポートすることを使命としています。腸内環境を整えることは、その第一歩です。
今後も科学的根拠に基づいた製品開発と情報発信を通じて、腸からはじまる「ウェルネスの循環」を広げていきます。
*1 : Rini, D.M. et al. (2024) Prev. Nutr. Food Sci., 29(2), 93-105.
*2 : Singh, R.P. et al. (2023) Front. Nutr., 10, 1143682.
*3 : Chen, V. et al. (2022) BMJ Open Diabetes Res. Care, 10(5), e002784.
*4 : Fulgoni, V.L. et al. (2019) Nutrients, 11(5):964.