オリゼの製品に含まれるレジスタントプロテインについての研究
消化されないたんぱく質 ―「レジスタントプロテイン」とは?

「レジスタントプロテイン(Resistant Protein)」は、消化酵素で分解されにくく、大腸まで届く“難消化性”のタンパク質のことを指します。食物繊維のように腸内細菌によって発酵・代謝される特徴を持ち、近年、健康機能性素材として注目が高まっています。
たとえば、白米、そば、高野豆腐、酒粕などに含まれ、熱に強いことやお米も品種によって含有量が異なることがわかっています。
お米のタンパク質は
- 消化されるタンパク質:グルテリン(米ではオリゼニン)80%
- 消化されにくいタンパク質:プロラミン10 -15%
に分けられます。
米麹の産生するプロテアーゼによりオリゼニンはかなり分解され,最終的に米由来のプロラミンが濃縮された形で発酵食品中に残存するのがレジスタントプロテインです。
なぜ注目されているのか? 期待される健康効果
近年の研究により、以下のような効果が報告されています。
食後の血糖値上昇を緩やかにし、糖尿病予防やダイエットに有効とされます。消化されにくいため、炭水化物と一緒に摂ると、糖の吸収が緩やかになります。
レジスタントプロテインを摂取することで、腸内の善玉菌の一種である酪酸菌を増やすという研究結果が報告されています。
レジスタントプロテインが脂質の吸収を抑制する可能性が報告されており、肥満や脂質異常症対策としても研究が進んでいます。
レジスタントプロテインを多く含む食品は?
- 白米
- 大豆
- そば
- 酒粕
- 発酵食品
私たちの取り組み — 発酵×たんぱく質の可能性
オリゼでは、米麹を用いた発酵食品の研究開発を通じて、レジスタントプロテインを含む素材の開発にも取り組んでいます。特に、
- 発酵工程で生成される難消化性たんぱく質の機能性
- 腸内細菌による代謝プロファイルの調査
- 血糖値や便通への影響評価
といった分野で、大学との共同研究を実施中です。
今後の展望
レジスタントプロテインは、これからの「腸活」「低糖質」「ウェルネス食品」において重要なキーワードです。発酵技術と組み合わせることで、より機能性の高い食品設計が可能になると私たちは考えています。
食を通じて、未来の健康をデザインする。
私たちの挑戦は、まだ始まったばかりです。
- 高橋雅弥、尾関健二(2021)市販甘酒中のレジスタントプロテインであるプロラミン量の測定、J. Brew. Soc. J., 116(10)719-723
- 進藤菖、林卓磨、藤岡裕起、山城寛、尾関健二(2024)甘酒中のレジスタントプロテイン及び非発酵性オリゴ糖含量並びに官能的品質に及ぼす原料の影響、J. Brew. Soc. Japan., 19(2)、1-9
